― 微生物・換水の大切さ、定期的なプランクトン投入のススメ ―
プランクトンや換水について、お客様から良くご質問を受けます。
私の考えを一部ですが書かせて頂きました。
水槽の管理・飼育方法は人それぞれのやり方や考え方があります。
お客様それぞれのスタイルで、アクアリウムを楽しまれる事が大事ですが、
少しでもご参考にして頂けたらと思います。
小さな海を作る為に。。。
私が思う理想の水槽環境は、「小さな海」を作る事だと思います。
これは深さ1万メートルにも及ぶ海の真っ只中を再現するのではなく(不可能!)、
磯場にあるタイドプールに近づける事です。
もしくはそれ以上の環境を作り出すことが実際可能なのです。
タイドプールは厳密に言えば非常に厳しい生存競争がありますが、一つ一つの生物が生き生きと育つ、多種多様な微生物がわいわいと生息する、すばらしい環境だと思います。
透明ケースに囲まれた小さなスペース(水槽)に魚を入れるか、
同じ面積でも、微生物の多いタイドプールに魚を入れるか、魚のストレス度は大変違うと思います。
つまり、魚が喜んで生息する環境を作ってあげる事が大事だと思います。
私が思うに本当のナチュラルシステムというのは、
水換えなしで、添加剤を投与して擬似海を再現したシステムではなく、
海本来の環境に近づけることが、本当のナチュラルシステムではないかと思います。
タイドプールは潮が引いている時、夏は水温35度以上に上がり、冬場は一桁代まで下がります。
雨が降れば比重が変わりますし、乾電池や空き缶などサビ、朽ち果てた物も有り、
そのような劣悪な環境でも力強く生き生きと生物達が生息しています。
タイドプールと水槽との大きな違いは、
タイドプールは潮の満ち干きによって、
定期的に新鮮な海水が入り込み、水質そのものは、良い状態でキープされています。
ところが水槽は飼育される人の判断によって、水換えの頻度・割合が違い、
良い状態を常にキープするのではなく、
悪くなってからようやく水を換える方が多いのでは?と思います。
数値を見て「良い状態」と安心し、古い海水で飼育されている方もいらっしゃるのでは?と思います。
数値だけでは計り知れないのが海なんです。偉大です。。
天然海水は、成分だけで成り立っているのではなく、様々な微小な生物を含んでいます
このような生きた海水が出入りしているのがタイドプールであり、
水換え頻度の少ない水槽・数値では安定していると思われている水槽は、天然の海とは異質な存在であり、
限られた微生物のみ存在する、一応バランスがとれた環境だと私は思います。
しかしながら、このような骨細な環境はちょっとした環境変化によりバランスを崩し易いかと思います。
人工海水をご利用の方が殆どだからこそ
海の構成要因であるプランクトンを、お薦めしております!
シュリンプの水槽は添加剤ゼロ、ライブロックも入れておりませんが、プランクトンを定期的に投入している為、
水槽立ち上げから2ヶ月程度で石灰藻が沢山付着して参りました。海草まで勝手に茂り始めております。
照明は蛍光灯のみ、水槽は60㎝の規格水槽で、濾過槽はエアーリフト式の底面濾過(30㎝用)です。
水槽は、タイドプールよりさらに良い環境にできる可能性があります。
水温は一定に保たれ、比重も管理でき、生体の組み合わせをコントロールできるからです。
水槽をタイドプールより良い環境を作るには、まず定期的な水換えをする事だと思います。
(悪くなってから換えるのではなく、良い状態のうちに換える事が重要です)
天然海水を利用できない場合にはプランクトンを投入することにより、海に近い状態を作る事が可能となります。
濾過槽の掃除について
濾過槽には、ゴミやヘドロのような一見汚いものが存在しますが、
この中を顕微鏡で見ますと、無数の微生物が生息しているのを確認できます。
この微生物は生物濾過の主役たちです。
濾過(分解)のピラミッドの底辺を支える重要な生物達と言えます。
「水槽の砂、濾材は決して掃除してはダメ!」というのが私の考えです。
生物濾過のバランスが崩れ、生体の体調まで落ちてしまいます。
それまで白点菌など病原菌を抑えていた微生物が洗い流され、
生物濾過のバランスが崩れた末に生体の抵抗力が低下し、それ!今がチャンスとばかりに病原菌が大暴れします。
洗い流してしまったらもったいないですし、危険です。
どんどん微生物をわかせて、安定した水槽を作ることが大変重要です。
掃除を行った直後に白点病になるというお話しを大変良く聞きます。
この現象は、抗菌仕様のものが巷にあふれ、人間が菌に触れる機会が減ったとたんに、
それまで弱い存在で色々な微生物によって抑えられていた「O-157」が近年猛威を振るったのと同様かな~と思います。
子供の頃感染したみずぼうそうの菌は普段体内に潜伏しているのですが、大人になっても、ちょっと疲れて抵抗力を落としている時に力を強め、
口唇ヘルペスなどになってしまうのも、同じ原理だと思います。(お医者様から伺った話です。。)
「濾過槽は年に一度はお掃除を」と言われる方もいらっしゃいますが、高い確率で病気を引き起こします。
せっかく微生物たちによって肥えた水槽を、微生物の住みかともども捨ててしまうのでは、
立ち上がった(バランスのとれた)水槽ではなくなってしまいます。
微生物が沸いた濾過槽になると、ミクロの生物がたくさん存在し
稚魚が勝手に濾過槽で成長するぐらい、すばらしい「海」ができあがります
水槽は一度バランスを崩すと、元に戻るのに時間がかかりますし、犠牲もあります。
お掃除はしないで、ずぼらでOKなのです!
換水のみ「こまめに」頑張れば十分だと思います。
シュリンプではヨコエビの換水は毎日80%、サンゴ水槽は毎日40%程度しております。
ヨコエビはストック量がすごい為「毎日換水は必須」になってきます。
サンゴも最高な状態で飼育したいから、とにかく新鮮な海水をと思いメンテナンスをしております。
プランクトン類は採取したての物しかご発送しませんので、ストックはしておりません。
毎回採取したその日にご発送し、残りものはシュリンプ水槽へ。。
観賞用の水槽は最低でも2週間に1回、80%の換水をしております。もっと頻度を高めたらもっともっと良い状態になるかと思いますが。。
毎日できれば理想!なのですが、なかなか難しいですよね。
でも換水が飼育の基本だと思っております。
換水をした際に、タツ君など生体が喜んでいるような感じを受けるのは私だけじゃないと思います^^
☆初心者の方へ☆
人工海水の素をそのまま生体の入っている本水槽に入れて、上から淡水を注ぎ込み攪拌するのはNGです!
必ず別容器にて人工海水を溶き、使用して下さい。
できましたら一日エアレーションを行い、落ち着かせてからをお使い頂きたいと思います。
「天然海水の汲み方」について
ご質問がございましたので、ここに載せておきますね。
砂浜からサーフィンしながら汲む場合には、(ご質問者はサーフィンをされる方です^^)
持ち帰った際に、衣装ケースなどの容器に移し、1~2日濁りを沈殿させて下さい。その際にブクブクを忘れずに!
エアレーションの場所は、砂を巻き上げない場所(中層以上)のケースの角がお薦めで、エアーは弱めにして下さい。
堤防で汲む場合には、なるべく綺麗な場所(外海に近い場所)を選ぶのが良いと思います。
釣具屋で売っている折り畳みバケツ(ひも付き)で、少量ずつ汲んでください。(これは便利です!)
バケツが大きいと、持ち上げるのに一苦労です。小さめので、せっせと汲んで下さい。じょうごがあると更に便利です。
こちらも濁りがある場合には、上記方法で沈殿させると良いですよ。
海水は生きていますのでエアレーションをして下さい。
また、玄関の外などで放置してしまいますと、プランクトンが外気温の変化などで死滅してしまい海水が傷みますのでご注意下さい。
ポリタンは軽いようで結構負担が掛かりますので、腰・腕など痛めませんように! 私、経験済みです。。
私個人的には少々濁った海水が好きなんです^^
もちろん汚染で濁った海水は論外ですが、清潔な場所にて潮流や荒れの為に濁った海水は海の素(プランクトン)が沢山です。
長くなってしまいましたが・・・
水換えをこまめにして頂くうちに多くの生物達が定着し、生物層が厚くなるに比例して、分解サイクルも安定してまいります。
水換えサイクルも、その安定状況を確認して頂きながら、伸ばす事も可能になります。
つまり、生物層が厚くなるまではとにかく水換えをして頂き、
外部からの微生物投入を行って頂きますと、
骨太の安定した水槽が出来上がってまいります。
そうなりますと、稚魚の餌となるような微生物もどんどん沸き、病原菌を食べる微生物も増えてきますので、
病気が出にくく、ちょっとした環境変化でもバランスが崩れない安定した水槽になります。
例え、病気の魚を投入しても自然治癒するほどまでになります。
また、孵化した稚魚が自然と成長するような水槽になります。
(シュリンプ水槽では、アシナガモエビが勝手に増えていました。)
魚も定期的に栄養価の高い天然の餌を摂取する事をお薦め致します。
病気やストレスに対する抵抗力が上がりますし、健康=体色が良くなります。
海に潜ると、魚達は皆まるまると太っています。ラグビーボールみたいです。。
水槽内でまるまるとした状態の魚は殆ど見かけません。
もっともっと栄養を摂らせてあげて下さい。
浮遊性プランクトン!非常にお薦めです!!
魚類や甲殻類、サンゴ類の喜ぶ姿を実感して頂けると思います。
お腹ぽっこりぽっこりになります^^
お客様から「水がキラキラする」「定期的に入れると調子が上がる」などお伝え頂いております。
※キラキラは発光微生物の影響かと思います。浮遊性プランクトン、付着性プランクトン、ヨコエビ、ゴカイ等、是非お試し下さい!
※寄生虫等は排除しておりますのでご安心ください!